ザスパクサツ群馬 J退会の危機 ... [J-League]
ザスパクサツ群馬は、Jリーグクラブライセンス制度の財務基準を満たせない可能性があり
財務改善資金に充当させるための「ザスパクサツ群馬支援募金活動」を実施すると発表した
フットボールチャンネル
ビジョンなき経営方針の陥る罠。債務超過のサッカークラブは募金で本当に救われるのか?
2014年4月11日
3月30日に行われたJ2第5節。ホームグラウンドである正田醤油スタジアム群馬でカターレ富山と対戦したザスパクサツ群馬は2−0で勝利を収めた。
この勝利で3月の5試合を3勝2敗の勝ち点9、5位という順位で終えた。昨シーズン20位であったことを考えれば、上々のスタートと言えるだろう。また、ホーム2試合で2勝というのも素晴らしい結果である。
就任2年目の秋葉忠弘監督の下、着々とチームは進歩をしている。ただ、シーズンが進むにつれ、スカウティングも進んでいくであろう。ここから「歩みを止めずに」(秋葉監督)進歩を続けていけるかが大切になる。
この試合の行われる前。スタジアムの外ではベンチ外になった選手やアカデミーに所属する選手たちが募金箱を持って、募金のお願いをしていた。
ザスパクサツ群馬は3月7日に「ザスパクサツ群馬 支援募金活動実施 ご協力のお願い」というタイトルで「平成26年1月決算での債務超過見込額の約 6000万円の解消と本年度の黒字に6月までに確たる目途をつけなくては」「クラブライセンスの剥奪及び、Jリーグからの退会を余儀なくされること」を発表した。
また、開幕1週間前の2月24日には植木繁晴代表取締役ゼネラルマネージャー、武尾誠取締役会長の辞任と都丸晃氏が代表取締役社長に、菅原宏氏が取締役(肩書はクラブライセンス対策本部長)に就任した。
募金によって集まった総額は3月30日までで10,567,844円にもなる。群馬のサポーターのみならず、全国から募金が集まっているようだ。
しかし、富山戦でサポーターに尋ねると「本当にクラブに自分たちで何とかしようという気持ちはあるのか」という声が少なからず聞かれた。いくつかの事例を見ながら、サポーターの声を検証していきたい。
まず、筆者の立場を明確にしておこう。筆者は「ザスパクサツ群馬というクラブがあること」が何よりも重要であると考えている。それは富山戦で話を聞いたサポーター全員が口を揃えて言っていた「ザスパがなくなったら困る」「週末の楽しみがなくなって欲しくない」という言葉がすべてだ。
二度とフリューゲルスのようなことは起こしてはいけないし、全国のサッカーファンも見たくないはずだ。J3に降格したとしても、クラブが足下を見直し、再出発できるならば、それでもいいと思っている。この点を留意したうえで、読み進めていただきたい。
時間をシーズン開幕前まで遡ってみたい。群馬は昨シーズンのチーム得点王、アシスト王である平繁龍一、青木孝太を揃って残留させているが、前者は他チームからオファーがあったようだ(しかも契約が残っており移籍金が発生する)。
後者に至っては、一度は契約満了により、退団が発表されながらも再契約を結んでいる。もちろん他チームからの補強も行っている。また、開幕戦で群馬はV・ファーレン長崎と対戦したが、ベンチには7人を入れている。
同じくクラブライセンスの問題に揺れた隣県、栃木県にある栃木SCは「育成型クラブ」への方針変更をし、シーズンオフにサビア、クリスティアーノ、パウリーニョといった主力の外国人選手を放出し、開幕戦はジェフ千葉のホームグラウンドフクダ電子アリーナでの試合だったが、ベンチに入ったのは5人であった。
オフのマーケットでの動き、遠征費の2つを見ても、クラブが現在のような事態に陥らないように動いていたようにも思えない。クラブが募金のお願いをすることを「恥ずかしい限り」(秋葉監督)という認識を本当に持っているのか疑問に思ってしまう。
クラブライセンス剥奪の危機に立たされてからの「募金活動の実施」のインパクトは大きかったようで、上述のように1000万円を超える募金が「支援募金活動実施 ご協力のお願い」のリリースから1ヶ月も経たないうちに集まったことは、事実であり、それ自体は群馬のサポーターや全国のサッカーファンの思い・力を感じさせた。実際、群馬に応援に来ていた富山ファンの方に話を聞くと、多くの方が「募金に協力をした」と話していた。
一方で、群馬のサポーターに話を聞くと「シーズンチケットやアウェイへの遠征費、ユニフォーム、グッズ、クラブの収入はもちろん、ポスター貼りなどクラブのために活動してきた。それなのに募金なんて……」という声もあった。この気持ちも当然だろう。
新社長、クラブライセンス対策本部長を迎えて、2月28日に行われたサポーターズカンファレンスの議事録がまだクラブ公式サイトで公表されない、募金活動以外に具体的な対策が見られないなど、体制は変わっても、本気でザスパクサツ群馬というクラブが変わっていくという気持ちは残念ながら今のところ見られない。
体制を一新した今、群馬がやらなければならないことは目前の危機を乗り切るとともに、短期、中期、長期の明確なビジョンを作成し、サポーター、行政、スポンサーの理解を得ながら、進めていくことだ。
クラブを中心とし、これらが絡み合い、周りの人々を巻き込んでいく。そのためにはビジョンが必要だ。群馬のクラブ公式サイトには「みなさんのサポートがザスパクサツ群馬を助けます!」と書かれた下に、スポンサー募集中、アシストパートナー、支援募金のお願い、ふるさと寄附金の4つのバナーがあるが、それと並行してビジョンを載せてもらいたい。
募金に加えて、群馬県サッカー協会などが「ザスパ(Jリーグ)存続会議」というのも立ち上げている。しかし、もし、今回のクラブライセンス剥奪の危機を募金などで乗り切り、Jリーグに残れたとしても、今の状況をある意味チャンスと捉え、自分たちの足で立てるようにならなければ、近い将来必ずまた同じ境遇に陥ることになるだろう。
小澤亮太
財務改善資金に充当させるための「ザスパクサツ群馬支援募金活動」を実施すると発表した
フットボールチャンネル
ビジョンなき経営方針の陥る罠。債務超過のサッカークラブは募金で本当に救われるのか?
2014年4月11日
クラブの危機を脱すべく開始された募金活動
3月30日に行われたJ2第5節。ホームグラウンドである正田醤油スタジアム群馬でカターレ富山と対戦したザスパクサツ群馬は2−0で勝利を収めた。
この勝利で3月の5試合を3勝2敗の勝ち点9、5位という順位で終えた。昨シーズン20位であったことを考えれば、上々のスタートと言えるだろう。また、ホーム2試合で2勝というのも素晴らしい結果である。
就任2年目の秋葉忠弘監督の下、着々とチームは進歩をしている。ただ、シーズンが進むにつれ、スカウティングも進んでいくであろう。ここから「歩みを止めずに」(秋葉監督)進歩を続けていけるかが大切になる。
この試合の行われる前。スタジアムの外ではベンチ外になった選手やアカデミーに所属する選手たちが募金箱を持って、募金のお願いをしていた。
ザスパクサツ群馬は3月7日に「ザスパクサツ群馬 支援募金活動実施 ご協力のお願い」というタイトルで「平成26年1月決算での債務超過見込額の約 6000万円の解消と本年度の黒字に6月までに確たる目途をつけなくては」「クラブライセンスの剥奪及び、Jリーグからの退会を余儀なくされること」を発表した。
また、開幕1週間前の2月24日には植木繁晴代表取締役ゼネラルマネージャー、武尾誠取締役会長の辞任と都丸晃氏が代表取締役社長に、菅原宏氏が取締役(肩書はクラブライセンス対策本部長)に就任した。
募金によって集まった総額は3月30日までで10,567,844円にもなる。群馬のサポーターのみならず、全国から募金が集まっているようだ。
しかし、富山戦でサポーターに尋ねると「本当にクラブに自分たちで何とかしようという気持ちはあるのか」という声が少なからず聞かれた。いくつかの事例を見ながら、サポーターの声を検証していきたい。
理解しがたいオフの動きと遠征費
まず、筆者の立場を明確にしておこう。筆者は「ザスパクサツ群馬というクラブがあること」が何よりも重要であると考えている。それは富山戦で話を聞いたサポーター全員が口を揃えて言っていた「ザスパがなくなったら困る」「週末の楽しみがなくなって欲しくない」という言葉がすべてだ。
二度とフリューゲルスのようなことは起こしてはいけないし、全国のサッカーファンも見たくないはずだ。J3に降格したとしても、クラブが足下を見直し、再出発できるならば、それでもいいと思っている。この点を留意したうえで、読み進めていただきたい。
時間をシーズン開幕前まで遡ってみたい。群馬は昨シーズンのチーム得点王、アシスト王である平繁龍一、青木孝太を揃って残留させているが、前者は他チームからオファーがあったようだ(しかも契約が残っており移籍金が発生する)。
後者に至っては、一度は契約満了により、退団が発表されながらも再契約を結んでいる。もちろん他チームからの補強も行っている。また、開幕戦で群馬はV・ファーレン長崎と対戦したが、ベンチには7人を入れている。
同じくクラブライセンスの問題に揺れた隣県、栃木県にある栃木SCは「育成型クラブ」への方針変更をし、シーズンオフにサビア、クリスティアーノ、パウリーニョといった主力の外国人選手を放出し、開幕戦はジェフ千葉のホームグラウンドフクダ電子アリーナでの試合だったが、ベンチに入ったのは5人であった。
オフのマーケットでの動き、遠征費の2つを見ても、クラブが現在のような事態に陥らないように動いていたようにも思えない。クラブが募金のお願いをすることを「恥ずかしい限り」(秋葉監督)という認識を本当に持っているのか疑問に思ってしまう。
本気で変わる姿勢はあるのか?
クラブライセンス剥奪の危機に立たされてからの「募金活動の実施」のインパクトは大きかったようで、上述のように1000万円を超える募金が「支援募金活動実施 ご協力のお願い」のリリースから1ヶ月も経たないうちに集まったことは、事実であり、それ自体は群馬のサポーターや全国のサッカーファンの思い・力を感じさせた。実際、群馬に応援に来ていた富山ファンの方に話を聞くと、多くの方が「募金に協力をした」と話していた。
一方で、群馬のサポーターに話を聞くと「シーズンチケットやアウェイへの遠征費、ユニフォーム、グッズ、クラブの収入はもちろん、ポスター貼りなどクラブのために活動してきた。それなのに募金なんて……」という声もあった。この気持ちも当然だろう。
新社長、クラブライセンス対策本部長を迎えて、2月28日に行われたサポーターズカンファレンスの議事録がまだクラブ公式サイトで公表されない、募金活動以外に具体的な対策が見られないなど、体制は変わっても、本気でザスパクサツ群馬というクラブが変わっていくという気持ちは残念ながら今のところ見られない。
体制を一新した今、群馬がやらなければならないことは目前の危機を乗り切るとともに、短期、中期、長期の明確なビジョンを作成し、サポーター、行政、スポンサーの理解を得ながら、進めていくことだ。
クラブを中心とし、これらが絡み合い、周りの人々を巻き込んでいく。そのためにはビジョンが必要だ。群馬のクラブ公式サイトには「みなさんのサポートがザスパクサツ群馬を助けます!」と書かれた下に、スポンサー募集中、アシストパートナー、支援募金のお願い、ふるさと寄附金の4つのバナーがあるが、それと並行してビジョンを載せてもらいたい。
募金に加えて、群馬県サッカー協会などが「ザスパ(Jリーグ)存続会議」というのも立ち上げている。しかし、もし、今回のクラブライセンス剥奪の危機を募金などで乗り切り、Jリーグに残れたとしても、今の状況をある意味チャンスと捉え、自分たちの足で立てるようにならなければ、近い将来必ずまた同じ境遇に陥ることになるだろう。
小澤亮太
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