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FC東京 米本拓司 インタビュー「世界を体感したい」 [F.C.TOKYO]


SOCCER DIGEST Web
【FC東京】 米本拓司インタビュー「世界を体感したい」
2014年9月30日

「インサイドハーフはボランチ以上に臨機応変さが求められる」

 Jリーグ屈指のボールハンターとして名を馳せるミッドフィルダーは今シーズン、活躍の場をボランチから4-3-3のインサイドハーフに移し、ますます存在感を強めている。アギーレ監督率いる日本代表への招集の期待もいよいよ高まりを見せているなか、好調のFC東京を攻守両面で支える米本拓司に、自身のサッカー観と代表への想いを訊いた。

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——今シーズンのFC東京で任されているのは、インサイドハーフです。昨シーズンのボランチより前めのポジションになって、変化はありましたか?
「攻撃面でチャレンジしやすく、いや、チャレンジしなければいけないポジションになりました。自分が前に出て行かないとチームの攻撃は成り立たないはずなので、中途半端なプレーは許されません」

——今シーズンの米本選手は、動きにメリハリがあると思います。ボランチだった昨シーズンよりも無駄走りが少なくなって、しっかりと考えながらプレーしている印象です。
「相手が考えていたら、こっちも考えないとダメですよね。いわゆる駆け引きはかなり重要です。どうしたら守備がハマるか、相手をいなせるか、そういうのを頭にイメージしつつ実践するのがサッカーの醍醐味だと思います。『昨シーズンよりも』と仰いましたが、昔から長くやっていたボランチの時は感覚で動く部分がありました。でも、インサイドハーフはボランチ以上に臨機応変さが求められますね。攻撃のスイッチを入れる、プレスをかけて自らボールを奪う、あえて遅らせて味方の呼吸を整える。いろいろと変わる戦況のなかで、考えながらプレーする必要があります」

——9月の代表戦でアギーレ監督は4-3-3システムを使っていました。中盤3枚のパフォーマンスを、米本選手はどう観ましたか?
「僕は今の代表に入ってないので、言いにくい部分があります」

——そこをなんとかお願いします。
「強いて言うなら、アギーレ監督のサッカーで意識したいのは、ボールを奪ってのカウンター。でも、ウルグアイ戦ではなかなかボールを奪い切れませんでした。相手を止めてもそこからマイボールにできる回数は少なかったですよね。セカンドボールを拾われたり、ボールがラインを割ってプレーが止まったりして……。しっかりとボールを刈り獲って、テンポ良く攻撃に移る場面はほとんどありませんでした」

——もし米本選手が、代表のインサイドハーフに入ったら?
「僕のところでボールを奪って、という意識は持つと思います」

——「アンカー・森重」は、どう映りました?
「(ウルグアイ戦で)足をつるかもしれないと思っていたら、本当につりましたね(笑)。FC東京の試合では、森重選手からたくさん指示が飛んできます。『右切れ、やっぱり左、いや、右だ。そこで行け!』みたいに。それが今回の代表戦では指示される側になったので、僕の気持ちを分かってもらえたのかなと(笑)」

——そういう話を、森重選手本人としましたか?
「もちろん。本人曰く『足がつった瞬間に指摘されると思った』そうです。指示については、『それでも言い続けるから』と切り返されました。まあ、『僕の気持ち』が分かってもらえただけで十分です(笑)」




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「相手の裏を読んでボールを奪えた瞬間は、最高の気分になる」

——もうひとりの代表戦士、武藤選手の活躍については?
「持ち味が出たと思います。4-3-3システムにピタリとハマるピースではないでしょうか」

——どの部分でそう感じましたか?
「スピードと強さ、ジャンプ力に加えて、守備力もある。最初の3つの武器を備えている選手はJリーグでもたくさんいますが、「守備力も」となると限定されます。その意味で、あの献身的なプレーは武藤選手の強みですよ。ピッチでのパフォーマンスとは関係ありませんが、チームメイトのアドバイスを素直に聞き入れるスタンスも素晴らしいです。代表で活躍したからといって僕たちの話を聞かなくなるわけではないし、本当に素直ですよ。そういう部分を本人も大切にしているからこそ、Jリーグでもしっかりと結果を残せているのだと思います」

——武藤選手の活躍は、刺激になりませんか?
「刺激というより、嬉しかったです。今のFC東京には、欠かせない選手になっていますよ」

——武藤選手のような攻守両面で気が利くFWがいると、インサイドハーフとしてはやりやすい?
「要求しやすいです。『もう少し戻って』とか、『ここは俺が頑張るから前に残ってカウンターに備えておいて』とか、ひと言、ふた言でその局面における仕事を理解し合える。連係を築くうえで、これは大きいです。凄い選手になると信じているので、今後の成長が楽しみです。ベテランでもない僕が、そう言うのはおかしいですが(苦笑)」

——プロ6年目と考えると、23歳の米本選手も中堅の部類に入ります。
「そうですよね……。怪我に関してはベテランですけれど」

——確かに。過去に二度も大怪我をしていますからね。
「あの怪我がなければ、おそらく選手として調子に乗っていました。そう考えると、良い抑止力になりました。周りの支え、自分ひとりでは何もできない愚かさに気づけて、人間として成長できた部分は間違いなくあります。そして何より、僕はサッカーが好きなんだと、改めて、冷静に、実感できました」

——怪我の前後でプレースタイルは変わりましたか?
「失敗を恐れずにチャレンジするようになりました。『ミスをしてもサッカーができなくなるわけではない。だからチャレンジしよう』と前向きに自己主張できるようになったのが、大きな変化です。サッカーにミスは付き物。ミスをするのが当たり前ではないですが、ミスをしないと始まらない部分もあります。それはサッカーに限らず、プライベートの生活でもそうだと思います」

——守備面ではだいぶ自己主張していますよね。ボール奪取の秘訣を教えてください。
「ボールを奪うために2、3個は必ず駆け引きします。どういう駆け引きかはシチュエーションによって違いますし、言葉で説明するのは難しいですね。先ほども言いましたが、僕はその駆け引きが面白い。相手の裏を読んでボールを奪えた瞬間は、最高の気分です」

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「代表に意識を奪われるとアクシデントに見舞われる可能性もある」

——米本選手には、頭でイメージしたプレーを体現できる身体的な強さがあると思います。
「ひとつ聞いていいですか。僕って、身体能力高いですか?」

——そう思います。敵のボールホルダーとの間合いを一気に詰めるプレーは、身体能力が高くないとできないのでは?
「でも、(体力測定は)チームでも下のほうの順位です。みんなにも『足が遅い』と言われますしね(苦笑)。それでも寄せられるのは、予測が速いからだと思います」

——試合中の米本選手を見ていると、『さっきまであそこにいたのに、なぜここにいるの?』というシチュエーションが多々あります。
「相手が見てない時に動いていたりします。それも駆け引きですよね。自分の身体能力はそこまで高くないから、駆け引きしないとボールを奪えない。頭で考えて、何手先も読む作業は僕の生命線かもしれません」

——生命線と言えば、スタミナも米本選手を支えるファクターです。
「正直、スタミナもそこまであるとは思いません」

——スタミナの使いどころが上手い、という解釈のほうが正しいですか?
「どうですかね。どれだけ走れるかは気持ちの問題かなと。僕は技術でアピールできるタイプではないので、とにかく走ろうと心がけています。『頑張ればできることを自分がやらないでどうする? 試合に出ている意味がないだろ?』と思いますから、そりゃあ、頑張ります」

——ところで、インサイドハーフで手本にしている選手はいますか?
「(今は4-2-3-1が基本の)FC東京とシステムは違いますが、(3-5-2で戦う)ユベントスのビダルは点も取れるから、素直に素晴らしいと思います」

——昨シーズンのセリエAでは、11得点・6アシスト。リーグ3連覇の立役者になりました。
「あのポジションでふた桁得点は相当凄いですよ。インサイドハーフでゴールを稼げるチームは強い。それは分かっていますが、自分はなかなか……。せめて片手ぐらい(5ゴール)は決めたいです」

——20節の鳥栖戦では、渡邉選手の折り返しから抑えの利いた、いいミドルを突き刺しました。ああいうゴールを増やしたいですね。
「あれは右サイドから来たボールをタイミング良くインステップで蹴り込めました。ちょうどその頃、練習でインステップにこだわっていたので、『成果が出た』という感じで嬉しかったです。イメージと感覚がピタリと合うようなシュートを、コンスタントに打てるようにならないとダメですよね。遠いところから狙っても、せめて枠には飛ばしたいです」

——最後に、日本代表への想いを。
「プロのサッカー選手である以上、日本代表は目指すべき場所だと思っています。ただ、代表に意識を奪われるとアクシデントに見舞われる可能性もあるので、何より怪我をしないように頑張りたいです。あとは、勘違いしないこと。自分が凄いと思ったら必ず鼻をへし折られるので。それは自分が小学生の時に、兄から教わりました。兄がいなかったら、たぶん僕はここにいません。かけがえのない存在ですよ」

——お兄さんに喜んでもらうためにも、次の代表戦に選ばれたいですね。
「世界を体感したい気持ちはあります。ブラジル相手にどこまでできるか。自分よりも上手いと思う選手とのマッチアップでしか吸収できない何かがありますから、彼らがどんなものか、戦ってみたいです」

取材・文:白鳥和洋(週刊サッカーダイジェスト)

■プロフィール■
よねもと・たくじ/ 1990年12月3日生まれ、兵庫県出身。177センチ・70キロ。瑞穂SC-伊丹FC-県立伊丹高-FC東京。J1通算118試合・4得点。今シーズン 23試合・2得点。日本代表1試合・0得点(9月21日現在)。二度の大怪我を乗り越え、フィッカデンティ監督の下ではインサイドハーフとして躍動。中盤でのボール奪取は、もはや名人芸の域だ。アギーレジャパンへの招集が期待されるMFのひとり。




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